外付けHD運用をやめてNASを構築してみた - Synology DS1621+ [NAS001]
category:general
NAS(Network Attached Storage)
新年から自分にとって新しいことにチャレンジしていこうという意味も込め、NASの領域に踏み入れようと思います。
きっかけは、当方ネットワーク初心者ではありますが、10ギガビット・イーサネット対応の機種がポロポロと増えてきていることと、外付けハードディスクでのデータの転送をそろそろやめたいと思えてきたからです。
色々と調べてみると初心者でもかんたんな使い方の範囲であれば難しくないということと、転送速度も上がってきているというのもわかってきました。
今回の内容は初歩のNASを無事にNASの構築を目指す内容になります。
機能拡張なども追々行っていきますが、全く精通してきてない自作PC的な要素も出てくるので、ゆっくり始めて作るNAS環境を育てていきたいと思います。
外付けハードディスクとNAS
外付けHD(SSD)とNAS運用のメリット/デメリットは色々なところで既に話題に上がっていますが、ご多分にもれず当方もほとんどが当てはまります。
外付けHDは嵩張ってきて扱いが面倒
ここ20年の間に120GBの容量のものから、最近ではお手頃な8TBの容量など10台以上のHDを使ってきました。
当然容量の少ないものはもう過去の遺産となってしまいますが、台数の分だけMacに接続するポートと、ACケーブルが必要になってきて作業場の領域をすぐ埋めてしまいます。
NASであれば1箇所だけ場所を確保してあげてLANにつながっていれば、あとは状態やなんかはリモートで(自宅ネットワーク外からでも)確認できるし、セッティング時以外はほとんど触ることもなくなります。
冗長性、バックアップ
外付けHDであればそのドライブが破損したところでデータの救出が困難になってしまいますが、NASは複数ドライブでRAID(Redundant Array of Independent Disks) を組めばその辺りの信頼性が増しますし、それを自動でやっておいてくれます。
外付けHDでクラッシュしてしまった経験はないのですが、ここらでRAIDを勉強がてら導入しておきたい。
USB3.1 Gen1より早い転送速度
USB3.1 Gen1で最大5Gbps(実効値は600~1,100Mbps程度)で、巷で大体普及しているLANで最大1Gbps、比べると転送速度は下がりそうです。
しかもRAIDを組んでいると保護システム同時に動いているので、転送がさらに下がるはずです。
NASと自宅ネットワークを10Gbit Ethernetに対応できればUSB3.1 Gen1よりは早くなるはず。
写真の現像データを大量に扱うことが多いので、ネットワーク上で直接編集できるぐらいの環境は追々構築していきます。
イニシャルコストはかかる
外付けHD 8TBであれば、今の所15,000~20,000円弱程度で購入できるので、容量が足らなくなったら買い足すか、もっと大きな容量のものを揃えればいいだけ。
(※2022年1月1日現在)
当方が想定しているスペックのNAS環境をゼロから構築するとなると、、
- NAS system(Synology DS1621+)
- 6ベイ分のHDD (8TB HDD × 6)
- 増設メモリ 16GB × 2
- キャッシュ用SSD M.2 1TB NVMe × 2
- NAS用 10GbE拡張ネットワークカード
- Macbook Pro 10G Ethernet アダプター
- 10G Ethernet スイッチングHUB
と、結構な散財となってしまうのは否めません。。
それなりに高性能なNAS環境を目指すので、もっとコンパクトに構築することもできますが、先ほども書いた通り大量の写真データの現像作業を直で行える環境構築を目指します。
(wi-fiルーターで使っているNEC Aterm WX6000HPは元々10Gポートに対応していたので、今回の初期費用から除外)
ランニングコストは…
NAS環境さえ作ってしまえばあとは24h稼働させるための電気代ぐらい。
目当てのNASシステムは25Wほどで動くらしいので、1ヶ月で500円弱ほど、1年で6,000円弱。
その他メリット
- Mac, iPad Pro, Androidとデバイス間のファイル管理が楽
- 出先からもステータスを監視、共有フォルダにアクセスできる
- TV録画をNASで行う(これはメーカー側が対応しているかまだわからない)
- USB接続しか許されないEPSONのスキャナーGT-X980をUSB接続してネットワークから使えるようにしたい(できるといいなぁ)
今の所想像できるのはこの程度。
Synology NAS
Synology, qnap, NETGEAR, ASUSTORあたりで目星を付けていて、qnapと少し迷い色々情報を集めながら参考にしてSynologyに決める。
[参考サイト]
中でも Adminsblog さんのこちらの動画は本当に参考にさせていただきました。
選んだのはSynology DS1621+、適度なサイズ感と申し分ない性能と拡張性、あと見た目が圧倒的に他者に比べて黒々しくてスッキリしていてよかったのが決め手。
アプリケーションも充実していて、iOS/Androidにも対応している。
Synology DS1621+
ポチポチした買い物が徐々に届いてきた。
Synology DS1621+、まずはこれがないと何も始められない。
Yahoo!ショッピングにて123,000円で、クーポン-4,000円と都合1万円分ほどのポイントとボーナスで、実質11万を割る形で手に入れることができた。
注文から6日後に届いたので在庫は残っている状態だったみたい。
製品保証書シールが貼られている以外は直輸入されたような見た目。
同梱物たち。
- 電源ケーブル
- LANケーブル × 2
- 2.5インチ用ビス
- BAYのLOCK key
- マニュアル
LANケーブルの規格はCAT.5e、1Gbpsが限界なので使わずに後々の10G EthernetためにぶっといCAT.8を用意して繋ぐ。
ビスも今回は出番なしなので、そのまま眠っててもらう。
各ベイのロックに使う鍵はベリーチープだけど、六角とも違う形状なので無くさないように大切にとっておく。
マニュアルは数ステップの画が載っているだけで、めちゃくちゃシンプル、これで十分です。
本体がお目見え、まずはフロント側。
右下に見えるのはUSB 3.2 Gen 1の3ポートあるうちの1つ。
余計なものがなく黒々スッキリで凛々しい、埃が目立ちそう、故障回避のためも兼ねて定期的に掃除しよう(と最初は思う)。
横のlogoもちゃんと通気口の役割をしている、かっこいい、たまに掃除機かけるね。
何度も言うようですが、右の拡張スロットは10GbEのカードで埋まる予定で、それまでは1GbEで接続して使います。
eSATAの2ポートは拡張ストレージのDX517を2台接続することができるようで、フルで積むと合計16Bayまでアップグレードできる。
ゴム足がついている足元をひっくり返した状態。
ここからDDR4メモリにアクセスできる、デフォルトでは4GB DDR4 ECC SODIMMが1枚刺さっている状態、32GB(16GBx2)まで拡張できる。
今回はまずデフォの状態で構築しパフォーマンスも測りたいのでそのままで。
フロント側に戻ります。
ドライブベイはロックを解除するとワンタッチでオープン。
ベイ1を外すとM.2ドライブスロットが2つみることができます、、スロットにNVMeを差し込むには隙間の確保に最低ベイ2まで外さないとキツい感じ。
ここもまずはデフォルトで構築するのでキャッシュ設定などは後回し。
ここでこのNAS Systemで使うHDドライブを紹介。
SEAGATE IronWolf 8TBを選んだ。
NAS向け、24h駆動PC向けに作られていて耐久性が高く振動対策もされているよう。
8ベイまで24時間365日稼働をサポート、製品保証期間3年間。
初心者向けのNAS構築の動画なんかでも薦めているストレージだった。
ちなみに転送速度の高速化よりも容量の確保と保守性、価格の面なども考慮してSSDの選択はなしでした。
まずは2ドライブで構築し、RAIDはSynologyが設計したSHR(Synology Hybrid RAID)をチョイス。
SynologyのRAID計算機だと保護で半分スペースを持っていかれる設計。
まずは今回は構築してデフォルトのパソーマンスを計るのが目的なので、後日4ベイ追加する予定。
理想図
有効なスペースが32TB、これから3年間で容量が足りなくなるほど齷齪写真のことで忙しくなっていることを願う、、今はまだ自分にとっては十分。
ドライブベイにSEAGATE IronWolfをセットしていきます。
ビスは使わないのでドライバーのような工具は必要なし。
金属部もなく両脇から固定するだけのシンプルな設計です。
レールに沿ってドライブを差し込めばそのままSATAに端子が差し込まれます。
上下逆ではベイに入らないつくりなので、間違える心配はなし。
しっかり接続させるために多少ドライブ自体を押し込まなければならないのと、取り出し時に少し引く力が必要になるぐらいで、非常にかんたん。
あとはLANケーブルと電源ケーブルを挿して、NAS本体を起動する。
立ち上がりまで2,3分、これ以降はソフトウェアで設定していきます。
Synology DiskStation Manager (DSM)
DSM(DiskStation Manager)はSynology NASに搭載された、オペレーティングシステム。
webブラウザーからアクセスしてPCライクにNASのシステム設定ができる。
自分はまずユーティリティの「Synology Assistant」を使ってネットワーク上のSynologyサーバを見つけてもらいセットアップ。
DSMはまだ未インストールになっている。
画面の指示に従いセットアップ、DSMもインストールします(10分ぐらいだった)
インストールが完了して、管理者アカウントを作成。
Synologyアカウントを作成(アカウントがなければ)、スキップ可。
RAIDタイプを指定、SHRを選択
ボリューム容量を割り当て、最大に
ファイルシステムは、推奨のBtrfs
ここまでくるとDSMの画面になり、自動でストレージマネージャが開く。
DSMのデスクトップ、PCのようなUIがブラウザ上で動いています。
OSはレスポンシブで作られているにで、スマホから同じipアドレスを叩いてブラウザで同じ操作もできる。
これでセットアップは終了、DSM上で動くアプリケーションも多数用意されている。
モバイルアプリDS finder(iOS / Android)からも制御可能。
デバイスからアクセス
DSM上のFile Stationを使ってRootに share_folder
という共有フォルダを作成。
この共有フォルダに同じネットワーク上にあるMacとiPad、そしてandroidからSMBプロトコルでアクセスしてみる。
Macから
MacはFinderから ⌘
+ K
でサーバへ接続。
smb://ipアドレス
を入力。
管理者アカウントを求められるのでセットアップ時に決めた情報を入力する(ゲストは非公開設定)
問題なく認識されている。
iPadから
iPadはファイルアプリを起動、メニューからサーバへ接続を選択 -> 登録ユーザーを選択 -> アカウント入力で接続できた。
iOSはNASに接続できるアプリを標準搭載しているので設定も楽(おそらくiPhoneでも)
androidから
androidはファイル共有クライアント機能ができる機種が次第に減少しているようでした。
手持ちのXperia 1 III(SIMフリー版)ではどうやらできないみたいだった。
よってサードパーティー製アプリに頼ることに。。
無事にSMBで繋がった。
しかもこのアプリ非常に使える予感、、もっと使いこなしてみよう。。
ファイル転送の速度計測
ここからはMacBook Proでの作業となります。 NASは拡張前の状態ではあるが、今度updateしていく段階でどれだけ速度に影響が出るかを確認しておきたいので、現段階での速度をしっかり残しておこうと思う。
計測はCFexpress Type Bの計測などでも使っているBlackmagic Disk Speed Testを今回も使います。
Blackmagic Disk Speed Testは基本Byte/秒の単位なので、×8してbpsにして比べます。
まずは去年購入したばかりのM1MAX MacBook Proの内蔵SDDをチェック。
内蔵SSDが1番速いことは明らかだが、ストレージのみデフォの1TBとケチったためスペースはほとんどシステムだけで使う想定。
内蔵ストレージを8TBにして+242,000円にした方がよかったのか、今回のNAS運営の新設が正しかったのか、判断材料のため計測したい(結論は先になると思います。。)
MacBook Pro M1MAX 内蔵SSD
書き: 5144.9 * 8 = 41159.2Mbps (41.159Gbps)
読み: 5289.4 * 8 = 42315.2Mbps (42.315Gbps)
NASを組む費用を全てSSD 8TBに盛ってポチった方が賢かったのかもと今でも少し悩みますが、当たり前だけど速い、、いやバックアップの保護を無視して単に転送速度だけを比べても意味はないか。。
外付けHD USB3.1 Gen1
最大5Gbps(実効値は600~1,100Mbps程度)でどこまで出るのか、、実は中のHDの回転数とかどの程度のスペックなのかは分かってない(SEAGATE製であるはず)
書き: 177.6 * 8 = 1420.8Mbps (1.42Gbps)
読み: 188.6 * 8 = 1508.8Mbps (1.5Gbps)
いくつかある外付けHDの中で1番成績の良かったもの。
結構速度は出している方だと思う、、今後この数値をNASが超えることができるのか、、今はまだ無理でも。
こいつはここが限界。
新設NAS
書き: 76 * 8 = 608Mbps
読み: 110.3 * 8 = 882.4Mbps
わかってたさ、いや思いのほか速いと言う感想(贔屓目)
1GbEなので早いとこ10GbEに変えないことには頭打ちから抜け出せないだろう。
メモリの増設、キャッシュ設定、ドライブ数、RAIDの種類、DSMのチューニングも速度に影響するだろう、まだ第一形態、まさに伸び代しかない、俺も成長しよう。
8Kタイムトライアル
最後に実際に同じファイルの転送がどれだけ早くなっていくのか、、タイムを残しておきたい。
EOS R5で撮影した5分にも満たない16.03GBの8K動画ファイル。
これをupdateの度にタイムを計測する。
初回は、、
書き込み、3分10秒
読み込み、2分17秒
まとめ
とりあえず難なく環境構築ができた。
部品の相性や調達など共有してくれている先人たちのコンテンツに感謝。
当分は部品の到着を待ちつつ記事を書きながらの作業となるので、NASの本格運用はまだまだ先になりそう。
以上導入編でした。