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トラベル三脚に斬新なアイデアが盛り込まれた「Peak Design TRAVEL TRIPOD カーボン」リリースから2年、後出しの「Ulanzi ZERO Y」と比べる

  category:camera

Peak Design TRAVEL TRIPOD

Peak Design TRAVEL TRIPOD

言わずと知れた革新的なプロダクトを排出しているメーカーPeak Design(最近大人しい気がするが…)、そのPeak Designが2019年夏ごろにクラウドファンディングでプロジェクト開発を進めていたのが「TRAVEL TRIPOD」。

3年前の投稿「Peak Designの三脚TRAVEL TRIPODが届いたので、Manfrotto befree advancedと比べてみた

一般販売は2020年の春だったが、筆者もプレッジしてコロナがだんだん騒ぎ出してきた3年前のこの時期にゲットし、当時トラベル三脚として使っていた「Manfrotto befree advanced」から乗り換え今日まで使っている。

バックやCAPTUREなどPeak Designで身を固めていた当人にとって、このエコシステムにトラベル三脚まで取り込まれまさにPeak Design信者状態だったが、このTRAVEL TRIPODに全く不満がなかったわけではなかった。

高価

現在だと10万近い価格(ちなみにカーボン)、ちょっと高過ぎる(メーカー永久保障っていうのも含まれるかもしれないが…)
クラウドファンディングのプレッジは$500程だったが、もし今紛失してしまったとしてもう一度買うかと聞かれても他のこの類の三脚に落ち着くだろう。。

安定性

コンパクトな収納性とのトレードオフではあるが、カーボンで軽くて頑丈ではあるがある程度伸ばすとちょっとの刺激ですぐぐらつきやすくなる。。
Manfrotto befree advancedの方が安定性はあった使用感。

そして発売から2年、去年の夏ごろにUlanziからコピーよく似たコンセプトのトラベル三脚がリリースされていることをYouTubeで知り、評価もどれも高かったので興味を持った。

Ulanzi ZERO Y

Ulanzi ZERO Y

Ulanzi製品をなざか今まで使ったことはなかったが、信頼できるメーカーではあるらしい、、ちなみにこの三脚はビデオ三脚や雲台を作る中国メーカーCOMANとのダブルネーム製品。

ジョイント部に真鍮,アルミニウムやそのほか金属が使われているが、いわゆるカーボン三脚、Peak Designと比べてもプラスチッキーなところが少なく上質感あり。

それでいて販売価格は4万円弱、重量もPeak Designよりも100g以上軽い。
(amazonで不定期に行われるタイムセール、加えてクーポン割引で3万を切る価格で入手できた)

Peak Designでできることはほとんど網羅していて、後出しならではの細かな行き届いた設計、品質も高い、、というのが各レビュアーのインプレッションだった。

スペック比較

もちろん後発のUlanziがオリジナルのPeak Designに寄せていているので、似たスペックになっている。

Peak Design Ulanzi ZERO Y
素材 カーボン カーボン
重量 1.27kg 1.1kg
耐荷重 9.1kg 18Kg
格納高 38.7cm 42.5cm
全伸高
(センターポール
伸ばした状態)
152.4cm 156.7cm
全伸高
(センターポール
伸ばさない状態)
130.2cm 132.7cm
最低高 14cm 15.3cm
雲台 自由雲台(アルカスイス互換)
自由雲台ボールヘッド MAXload - 5Kg
プレート STANDARD PLATE Arca Quick Release
脚ロックタイプ レバーロック レバーロック
段数 5段 5段
価格 ¥110,000 ¥38,888

収納時はUlanziの方が頭1つ分出てしまう長さではあるが、100g以上の軽くなっている。
身長172cmの筆者だが、どちらも目線の高さまで上げることができる。
耐荷重はセンターポールに安定性を保つために荷物をぶら下げる時の数値であって、自由雲台的には5kgまでの撮影機材が載せることができることになる。
足の形状は違うものの、構成はほぼ一緒。

ちなみにUlanziは独自のクイックリリースシステム、「Falcam F38」がデフォルトでセットされている「Ulanzi ZERO F38」もあるが、後ほど触れるがプレート運用を考えてZero Yにした。

F38がどうしても使いたい場合は「Ulanzi ZERO F38」を購入するのがお買い得(1/4"ネジセンターポールが付属)だが、後からセンターポールだけアクセサリーとして購入可能、Falcam F38も単独で販売されている。

逆に「Ulanzi ZERO Y」ではなく「Ulanzi ZERO F38」を購入すると他のプレートとの互換性がなくなるため、その辺はご注意を。

では実物を見て比較していく。

リアル比較

Peak Design TRAVEL TRIPODとUlanzi ZERO Y外箱

元箱からUlanziの方がちょっとデカめ。
Peak Designは凝った作り、とっておく必要はないけどこれは捨てれない。。

専用ケースと本体

専用ケースと本体、ケースまで酷似。
数値で見るよりこの長さの違いはある。。

この差はセンターポールを収めた状態でもある程度自由雲台の角度をつけることができるよう少し浮かせている、、Peak Designの方はベタ付きで少し脚のジョイント部に埋まった状態でコンパクトに収まるがセンターポーツは全く動かせない。。

ここはPeak Designの設計の方が個人的には好き。
センターポールベタ付で使うことはなさそうだし。

Ulanziには脚先の交換用のスパイクが元からついてくる(ストラップも)、、この辺りもお得。

プレート

各プレート

CAPTUREを使うことが多いので、Peak Designのスタンダードプレートはこのまま使い続けたかった。
F38も便利そうではあるけど、今から揃える気にもならないため今回はZERO Yにした。

ZERO YにPeak Designのスタンダードプレート

ZERO YにPeak Designのスタンダードプレートとアンカーリンクのセット、ちゃんと噛んでくれる。
左のダイアルでを絞めると両端を締め付ける簡単な作り。
ZERO F38だと互換性はなく、他社製プレートは微妙に高さが異なり使うことができない(ここは差別化しているんだろう。。)

dji RS3 miniプレート

使うタイミングはあるかわからないが、ジンバルdji RS3 miniのプレートもアルカスイス互換でガッチリ食らいついてくれる。

Ulanzi標準プレート

これはUlanziの純正プレート。
このプレートでも良いが、ちょっと作りが他のものと異なります。
裏面を見てみると、

Ulanzi標準プレート裏面

何か小さいボルトが入っている、多分取り外しは可能。

三脚座

このボルトが三脚側の溝に入り込むことによって、三脚座から滑り落ちるのを防いでいる(らしい)

六角レンチのサイズもPeak Design、あとよく使うSpider Light Holsterともサイズが異なるので、今のところはなるべく持ち歩きたくない。。

ZERO YにPeak Designのスタンダードプレート 2

そのため、他社製プレートでこの三脚を運用するとなると、プレート部はセットされても押さえつけているのは両端から手回しのみの力でつけつけるだけになる。
Peak Desigの三脚座を見てもらうと、ロック機構の溝と逆の両端に突起物が出ているので、万が一ゆるくなっても滑り落ちる心配はない。。

互換性があるから選んだのだけども、Ulanziさんこれで大丈夫なのか?

ここは△

Ulanzi標準プレートにCAPTURE

裏側のボルトが邪魔をして、Peak Design CAPTUREは使うことはできない。

Ulanzi油圧三脚座

Peak Design三脚にはない、パンニングをロックするビス。
実際カメラが乗っかった状態だと取っ手がカメラに干渉するところにあるので、取っ手の位置を調節もできるよく考えられた設計。
そしてこのパンの動きは油圧式で動くので、非常に滑らか。
レバーはついてないが、動画用の三脚としてもある程度対応できし、この機構より下で水平を取れるのでちょっと不安定なところでもパン操作はできそう。

ここは非常に◎

なお、Ulanzi ZERO Yの雲台(センターポール)の単体アクセサリー販売は行ってなさそう。


自由雲台の動きは正直よくない。
Peak Designも決して滑らかではなかったが、Ulanziの方がさらに動きは悪い。

ここは△


そしてセンターポールロックと雲台ロックの同じレバー、ここの使い心地は正直嫌いな部類に入る。
レバーを最後まで押し込まずとも十分な強度でロックはかかるのだが、全体的に非常に硬い。
指で操作を続けていると痛くなるほど硬い、動きも滑らかさがない。

ここは×


Ulanzi ZERO 1/4

Ulanzi ZERO 1/4

ステージのみのセンターポール、アクセサリーの「Ulanzi ZERO 1/4」を購入で好みの雲台に切り替えて使うことも可能。
(Ulanzi ZERO M38にはデフォで付属)

1/4インチと3/8インチに対応。
残念ながらこちらのセンターポールは短く分割するような機構はないので、ローアングルに対応してない。

Leofoto LH-36PCL

Leofoto LH-36PCLなんか付属の雲台の懸念/不満点を補ってくれそう。
(3万円…、検討中)

重たくはなるが雲台と分割して持ち運べるので、旨味はある。

トラベル三脚はこれで自分的には完成系、雲台Leofoto LH-36PCLの性能をウメジローで確かめてみた。

使用感

Ulanzi ZERO YとPeak Design

最小サイズ。
嵩張る分だけUlanziの方が背が高い。
そしてこの状態から雲台が少し傾けて使うことができる。

Ulanzi ZERO YとPeak Design

脚だけ伸ばし切った状態。
こうしてみるとUlanziの方が広がる角度が浅く、その分背を高く持っていけている印象。

5番めの足の細さ、、これはどちらも頼りないもので、使わない方が良さそう。

Peak Design

Peak Design5番めの脚

Ulanzi

Ulanzi5番めの脚

個体差はあるかもだが、脚の動きはスムーズで突っ掛かりみたいなものはなし。
レバー式のロックも作りが良い。

Ulanzi ZERO YとPeak Design最大高さ

ピントが背景に合ってしまっているためボケてるが、最大の高さ。
Ulanziの方が若干高い。

ここでの安定性がUlanziが有利で、比べるとPeak Designの方は何かしら衝撃など与えると全体がしなりやすくブレやすい印象。


Peak Design EOS R5

Peak DesignでEOS R5(24-27F2.8)を乗せたところ。

ここまでセンターポールを伸ばす流石に安定性がなくと少し頼りない。

Ulanzi ZERO Y EOS R5

Ulanziも同じく頼りなさはあるが、足元の開きが少し狭い設計なのとパイプ径25mmφサイズというところが、Peak Designよりも重量による歪みに対して少し強いように思えた。


パンニング

Peak Designにはないパンニングの機構。
スムースな動きで左右の微調整なんかにも重宝しそう。

ロックのネジもカメラボディの干渉しないよう回せるようにできている。


標準プレート

アルカスイス互換 標準プレート(サードパーティ)を噛んでいる状態。
左右の溝でしっかり住め込めばロックはされる、、がこのダイヤルもそこし回しづらいのも正直感じる。

何より怖いのがこの写真だと前後の動きに堰き止めるストッパーのような機構がないため、万が一ロックが緩んでいることを気づかずに動かしてカメラが落ちたりしないか、、これが結構心配。

あと三脚を設定して場所移動する際に、カメラをマウントしたまま運ぶ、、というのがこの三脚ではちょっと怖いのでいちいちアンマウントしてから移動することになる。。

Leofotoのレバーロックが欲しいところ。


フックが工具に

センターポールの先が荷物掛けになっているのはどちらも同じ。
Ulanziはこのフックの先をそのまま工具(六角レンチ)にしてしまっている。

PeakDesignも工具は設置割れてたが、結構外れやすかった。
そしてこの場所にスマホフォルダーが隠されているギミックがあった、、使う機会はなかった、、が嫌いじゃないギミックだった。

センターポールを調整

ここもどちらも同じ作りで、雲台のボールの先端からセンターポールの締め付け箇所にアクセスできる。
これでセンターポールが短くすることができる。

alt

センターポールを短くすることでこんなローアングルで使えます。
脚開閉の調節がPeakDesignは2段階に対して、Ulanziは3段階。

逆さ撮影

センターポールを逆さに取り付ければこんな使い方もできる。
三脚の高さに依存してしまうが、真上からの物撮りなどできる。

地面スレスレ

逆さではあるが、スレスレ撮影も、、くれぐれも自己責任で。

所感

Ulanziで十分。。

いや、むしろ「Ulanzi ZERO Y」の方が価格帯を無視にしても良いのでは、、と思える品質。
これが1/3の価格で入手できるのだから、浮いた値段で好きな雲台を購入してもお釣りがくる。

個人的にマイナスポイントは、

この辺が気になった。
雲台を変えることで十分克服はできそうだが。

ずしっと重厚な三脚を持ち運ぶことができない自分にとっては、トラベル三脚こそがカメラ三脚なので、こういう技術革新や企業努力による価格破壊は嬉しい出来事なので、楽しんでカメラライフしていきたいと思います。